海外大学院の教授に英文メールを書く

 

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 2020年度のアメリカ大学院入試選考は終盤に差し掛かっている時期になりました。ということは、次の年度の選考について大学側が準備を始める時期にもなります。これからの数か月はまだ教授先生の所に他の受験生からメールが殺到する時期ではないので、志望する先生に早めにコンタクトを取ることで返信が来る可能性が高くなると考えられます。専攻によっては事前に教授先生へコンタクト不可というケースも聞いたことがありますが、自分が出願した理工系の専攻にはそのようなルールはなく、志望する先生にはほぼ全員にメールを送信していました。

 メール送信する前に、履歴書のような役割を果たすCV (Curriculum Vitae)とResumeを準備しておくと良いと思います。CVとResumeの主な違いは、CVは本人の完全な履歴(2枚以上)であるのに対して、Resumeは応募したいポジションに特化した1枚の履歴書です。CVとResumeの説明と作成に関しては、こちらのコーネル大学のサイトがとても分かりやすく解説していますResumes and CVs : Graduate School。テンプレートのようなものネット上でたくさんありますが、ぜひ説明を読みながら自分で書くことをお勧めします。メールの本文では長々と自己紹介をすることができないので、CV, Resumeを添付して、興味を持ってもらった場合に読んでもらえる可能性があります。充実したLinkedInのプロフィールや個人ホームページもあると、それらのURLをCVに追加してもっと自分をアピールすることも可能です。

 大前提は、Gmail等のフリーメールアドレスを使用しないことです。100%読まれないと言い切ってもいいでしょう。所属機関のメールアドレスを使用してメールを送信しましょう。また、口語ではなく書き言葉で、can'tやdon't等の短縮形を使わないように注意することが必要です。全文で200 wordsを目処に、長くても250 wordsで書くことを目標とすると良いと思います。

 自分は英文専攻ではないので、英作文の解説ではなく、理工系の学生が海外大学院の教授に自分の受け入れを打診するメールを書くという状況を想定して、以下に英文メールの各要素とその大まかな書き方を示します。

表題[Title]

 簡潔にメールの意図を述べ、数wordsで収まる表題にしておくと良いです。Ph.D.のポジションを探しているのであれば、Ph.D. applicant等で、ポスドクのポジションであれば、Pursuing a pos-doc position等と言った具合です。

宛名[Salutation]

 面識のない先生にメールすることも考えられるので、HiやHelloよりもDearを最初に使ったほうがフォーマルな文面になります。Dear Professor [Last Name]という風に、宛名を本文の最初に書きます。

 ここで要注意なのでは、ProfessorやDr.の後に、フルネームを続けて書かないことです[1]。Albert Einsteinという先生ならば、Professor Einsteinと書いて、Professor Albert Einsteinとは書かないようにしましょう。

本文[Body]

 本文では最初にこのメールを書いた目的を明示し、その後30~50 words程度で簡潔に自己紹介をします。自分の現在のポジション、どんな研究をしているかを端的に伝えます。自分の指導教官の名前も明示しておくと良いことがあるかもしれません。これは私が今のボスの電話面接で聞かれたことで(Who was your advisor?)、後日ミーティングした時も、「あなたの元指導教官はすごい研究者だ、今度学会で会ったら挨拶しとくよ!」と言っていました。

 次に主な業績(第一著者論文の本数、学内や学会での受賞歴)、奨学金の獲得状況(獲得金額とその内訳、支援期間等)を中心に述べます。留学用に確保した奨学金がなければ過去に獲得した奨学金を示すのも一つの手だと思います。とは言え業績を羅列しすぎると全体のインパクトが下がってしまうので、論文/受賞歴/奨学金の中で特筆すべきものを選んで適切な形容詞(remarkable, outstanding等)で端的にアピールします。

 志望先の先生とのつながりを示す経験、例えば以前インターンしていた、共通の知り合いの先生のところで研究していた等を書けると、メールのその先に内容もしっかり読んでもらえるかもしれません。無ければ無いで、無理やり書くことは避けましょう。志望研究室の論文を熟読して、自分がどのプロジェクトでどのように役立てるかをアピールする内容を含めるのも大切です。先生によっては研究室のホームページに、問い合わせのメールをする場合に含めるべき内容を掲示している場合があります。それに従ってメールを作成すればメールの中身を読んでもらえる確率が高まります。段落の終わりに、CVやResumeを添付したことを知らせておくと、どんなファイルが添付してあるか分かってもらえるかもしれません。ファイルが添付してあるメールは読まないという先生もいるとネットで見かけましたが、私自身がこのようなケースを見たことがないので何とも言えません。

 最後の段落に、先生が講演する予定のある学会、研究室訪問またはSkype, Zoom等で面談のアポイントを試してみます。場合によっては、面談はAdmissionの選考を通過してからと言われることもあると思いますが、もし面談に応じて下さるのであれば、自己紹介や研究内容を正確に伝えられるようにしっかり準備しましょう。

結び[Sign off]

 フォーマルな文なので、結びはYours Sincerely, やWarmest Regards, 等を書きます。

署名[Signature]

  自分のフルネームを書きます。その下に所属機関を。英文の場合は日本語と逆で、大学名や会社名からではなく、所属する最も直接な組織から書くので要注意です。

 

 以上に海外大学院の教授への英文メールの構成を示しました。ネットにあるテンプレートを単語だけ書き換えて使うことは避けるべく、一文一文しっかり自分の言葉で書くことが非常に大切だと思います。文法ミスはGoogleGoogle Scholar検索、さらにはGrammarlyGoogle Ngram Viewerozdic.com - the English Collocations Dictionary online等のフリーツールを使いながら検証し、英語話者の友人が居れば添削を依頼する等、送信する前に内容を細心にチェックすることをお勧めします。メールの返信があまり来なくて心が折れそうになることもあると思いますが、根気強くコンタクトを試みると良いことがあるかもしれません。

 

参考にしたリンク:

www.dailywritingtips.com

www.psychologytoday.com

引用:

[1]: https://emswriting.wordpress.com/2015/12/15/honorific-titles-and-personal-names/