アメリカ大学院受験:志望校選び

 2月に入って最低気温が5℃以下になる日が続いており、晴れていても冷たい風が吹くなど1月よりも寒いと感じているところです。

 昨年のこの時期は、出願した大学院から大体一週間おきに結果通知が届く頃でした。記憶が薄れないうちに、自分の大学院受験における志望校を選ぶ過程を振り返りたいと思います。

 アメリカの大学といえば、ハーバード大学スタンフォード大学マサチューセッツ工科大学などがテレビで名前が取り上げあげられ日本でも知名度が非常に高いと考えられます。近年の日本人ノーベル賞受賞者が在籍しているとして知られるシカゴ大学や、パデュー大学、ジェット推進研究所を擁するカリフォルニア工科大学、イェール大学などを含むIvy league、カリフォルニア大学バークレー校を始めとするPublic Ivy Leagueなどと、名門大学と呼ばれるような大学が枚挙にいとまがありません。

 この中から、例えばコンピューターサイエンスを学びたい!と考えているとすれば、有名なのはハーバードだけれど、理系のトップはMITって聞くし、逆にシリコンバレーと近いのスタンフォードで、スティーブウォズニアックの出身校はUC Berkeley、などと色々頭に浮かんでくるかもしれません。

 一つの参考としてTimes Higher Educationなどが毎年発表している大学ランキングがあります。日本でいうと予備校が出している大学偏差値ランキングがありますね。それぞれの機関が算出する大学ランキングの評価基準は異なるので、順位の前後はありますが、上位に来る大学は大体同じ顔触れになります。

 私が当時参考にしていたのはQS Top UniversitiesのWorld Univesity RankingsとQS Rankings: by Subjectsでした。ほかのランキングサイトを見なかったのは、複数の基準で複雑にしたくなかったのと、トップ校だけを出願するつもりだったからです。こちらにQS Top Univesitiesの世界大学ランキングと電気電子学科のランキングを示します。およそ半分の大学が入れ替わり、世界ランキングで上位に君臨する大学も分野によってはその実力が他大学と比べて位置が入れ替わるということが分かります。分野が細分化されている理系学部では、大学全体のランキングより分野別のランキングが参考になるというケースが多くなってくると思います。

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  2017年度の世界大学ランキング(左)と学科別(電気電子)ランキング(右)[1,2]

 学科を選択するのに気を付けたいことは、アメリカの大学院は選考に際して志願者のバックグラウンドの「コヒーレンスCoherence)」を評価していることになります。つまり、一貫性をもって目標を達成するに必要な取り組みを今まで行い、それを達成するまでのステップの一つに大学院で学ぶことが不可欠であることをアピールしなければいけません。これまではバイオエンジニアリングを専攻していたのに対して、天文学部に志望するとなると、コヒーレンスが不十分と評価され合格確率が低下してしまうことにつながると考えられます。志望する学科が分からない時は、自分の研究分野の著名な先生の所属機関から候補を絞り込むと早いかもしれません。

 私の場合は東京大学大学院応用化学専攻修士課程時代までの研究分野と勤務していた電機メーカーでの業務内容を総合的に考えて学科を電気電子に決めて、アメリカの大学を目指していたので、上記右図の1から4位の大学を志望校に入れました。このほかに、シリコンバレーのあるカリフォルニア州に行きたかったのもあり、大学院での研究分野の著名な先生が在籍するカリフォルニア大学サンタバーバラ校材料工学部、カリフォルニア工科大学電子工学科を加えて、合計6校を志望校としました。

 出願するにあたって、各出願校につき希望研究室を決めておく必要があります。学会などですでに教授先生と知り合った場合は希望研究室が決まりやすいのですが、併願する他校でも知り合いの教授先生が在籍する場合は少ないと考えられます。一つの学科に付き第三希望研究室まで出願できる場合が多いので、教授陣の中から希望する先生方を三人決めることができればいいのですが、アメリカの大学は日本と比べてかなり規模が大きく、一つの学科に50人以上の教授陣が在籍することも珍しくなく[3]、調査を実行するのに大変な労力がかかります。一般的には出願期限の一年前には志望校の調査を開始し、Eメールや現地訪問などを通して教授先生と連絡を取り受け入れの可能性を探っていくことが合格の可能性を高めると考えられます。

 

[1] QS World University Rankings 2019 | Top Universities

[2] Engineering - Electrical & Electronic | Top Universities

[3] Current Faculty | EECS at UC Berkeley