奨学金が示すのは財政能力だけではない

 10月から授業が始まってから更新が滞りました。今学期は授業三つ取りましたが、宿題と実験と実習でほぼ時間が埋まり、予想以上の忙しさに振り回されています。指導教官と相談して来学期は授業は二つに抑えて研究に時間を割けるようにプランしようと考えています。

 今回は欧米大学への出願に当たって、非常に重要な役割を果たす奨学金について自分の思っていることと経験を書いていきたいと思います。

 まず、奨学金という単語を英語に翻訳した時は、scholarshipになります。世界での認識では給付型が原則になります。ここは少し日本との認識に若干の違いがあると思われます。借与型の場合はscholarshipではなくstudent loanと呼ばれます。これ以降は私は特に断りがない限り、奨学金と言及した場合は給付型の奨学金を指します。

 採択されている奨学金の有無は、応募に際して重要な評価指標とされています。アメリカの理系大学院に出願する場合は、まず自分が所属したいと思う研究室に連絡を取って先方の先生に受け入れの意思があるかを確認するのが必須です。その際には、自分の略歴(CV)もEメールに添付するのが普通です。その略歴の中には採用されている奨学金を記入する必要もあるのですが、自分は奨学金の合否が分かる前にEメールで連絡を試みても全く返信がありませんでした。しかし、数ヶ月後に日本学生支援機構(JASSO)の海外大学院留学給付型奨学金に合格した旨を含めてEメールで連絡すると、半数以上の先生から返事が来ました。

 ここで私が感じたことは、奨学金に採用されるということは自分にとって一つの実績になる、という風に考えられてるようです。何故ならば、奨学金の審査項目はアメリカ大学院の審査項目とほぼ一致しているからだと思われます。

 一般的に奨学金に採用されるまでに、

・留学計画の作成

・1通〜3通の推薦状

・語学試験の成績(TOEFL、IELTSなど)

・大学時代の成績

・面接

 などといった審査書類を揃え、書類合格した後に、面接を経て奨学金の授与が決まります。すなわち、願書を大学院に出す前に、既に数ある応募者の中から書類審査に合格し、学術界の権威による面接を通過しているという実績を持っていることになります。大学院側からすれば、応募者の客観的評価として推薦状の執筆者以外にも応募者の評価が加わることになるので、かなりのプラスになると考えられます。

  奨学金に合格するには、かなり念入りの準備が必要なので、留学を考え始めた早い時期から情報収集、書類作成を行う必要があります。日本学生支援機構のホームページでは、民間や他国政府が提供している奨学金の情報を包括的に検索できるようになっているので、こちらからかなり多くの情報を得ることができます。

ryugaku.jasso.go.jp
 

 さらに、知名度の高い奨学金に合格することで、大学院の合格率を上げることが期待できます。例えば、日米政府によって設立されているフルブライト交流事業の大学院留学プログラムや、船井情報振興財団による大学院(博士号取得)留学支援などが挙げられます。これらの奨学金の競争率はかなり高いのですが、授与が決まればアメリカ大学院への合格に大きく前進とも言えます。

www.fulbright.jp

www.funaifoundation.jp

 以前の記事では、合格になったものの学部、教授先生からは授業料免除や給料支給の待遇が受けられない場合を書きましたが、奨学金の授与が決まっているのであれば生活費などの面で心配することなく渡航を決めることができます。

 奨学金の有無は大学院合格を左右する一つの重要なファクターであるので、早めに情報収集などの準備を行い、出来るだけ多くの奨学金に応募できるようにスケジュールを組むことをお薦めします。